スキー博物館

教会のような外観の日本スキー博物館は典型的なヨーロッパの山小屋風の建物に囲まれている。エリア全体を歩いてみると、中心に丸い噴水のあるオーストリアの村を歩いているような気分になる。博物館は世界でもっともポピュラーなウィンタースポーツのひとつ、スキーの辿った変遷について詳細な内容を伝えてくれる。展示はふたつのフロアにまたがり、6つの部分に分かれている。アジアのいくつかの地域の古いスキー道具を眺めたり、スキーの発展や服装の変化について学んだり、歴史的文献を読んだり、ポスターや地元の才能ある選手たちが冬季オリンピックで獲得したメダルなど多数の記念品を見たりすることができる。高松宮殿下が所有されていたスキー板の実物も展示されている。日本スキー博物館は、日本や世界におけるスキーの歴史を知るには間違いなく最適な場所。

スキーは、オーストリア=ハンガリー帝国の元将校であったテオドール・エードラー・フォ ン・レルヒによって、1911年1月に長野県の隣の新潟県に伝えられた。当時スキーは主として軍人がするもので、一本のストックだけで前進していたため、操るのはかなり困難だった。それから20年近くたってようやく、オーストリアのスキーの名手ハンネス・シュナイダーによってアールベルク・テクニックと呼ばれるスキーの技法が伝えられた。著書「Wunder des Schneeschuhs (スキーの驚異) 」が日本で出版された後、シュナイダーは1930年に秩父宮雍仁殿下に招かれ、2本のストックを使うエレガントなスポーツとなっていた新しい近代スキーの技法を説明し披露した。この時に、この新しい近代的なスキー技術のデモンストレーションの場となったのが野沢温泉スキー場。そしてこれを契機として、日本にプロフェッショナルなアルペンスキーが根付いた。